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クロスファイア(上)(下)/宮部みゆき ※ネタバレあり

クロスファイア〈上〉 宮部 みゆき / 光文社
クロスファイア (下) 宮部 みゆき / 光文社

この前、鳩笛草を読んだばかりの宮部初心者である私にとって、初めての長編。いやー、大作だった~。ノベルズ(2段)×2冊って、かなりのものよね。それでも鳩笛草と同じく、すらすらと読めてしまうのが素敵。

鳩笛草に収録されている「燔祭」に出てくるパイロキネシス能力者、青木淳子さんを主人公にしたお話。冒頭からすごいことになっているだけに、最後どうなるのかなんとなく予想できてしまうのだけど、それでも淳子さんの進んでいく道が気になってしかたなかった。能力者ゆえに生まれたときから大変な人生を送ってきたみたいだけど、前作では普通のOLをやっていただけに、「こんな生活をしてたのか!」と驚く。

しかし、法律が裁ききれない犯罪者を粛正してゆく彼女には、相手がどんなに悪人だったとしても、それは殺人なのでは?という疑問がつきまとう。そして、彼女自身もそのことに気付いていないわけではなく、悩んでいる。そんな彼女の前に、初めて「同志」といえる能力者が現れるのだが…。あぁ、やっぱり切ないなぁ。

彼女のしたことは正義だったのか? 直接の犯人以外も巻き添えにしている時点で、それは難しいかもしれない。でも彼女は普通に人間として「善良」だった。被害者達に同情した。
だから何しても良いというわけじゃないけど、悪い人じゃなかった。そして自分の人生を犠牲にしてた。せめて、少しは幸せになってもらいたいと思ってしまう…。

おばちゃん刑事の石津ちか子さんも、なかなか良い味出していて好感が持てた。
なんか他にシリーズ持っても良さそうな人だねぇ!

あと私、映画化されたの見てないんだけど、読んでみてどうして映画になったのかわかった気がした。発火能力なんて、絵になるかんじがするものねぇ。
ただ、当時では炎のSFXとか辛かったかもしれないけど。機会があったら、見てみようっと。
by mie_tohno | 2005-03-17 20:07 | 本のこと